第12回講演会 開催レポート

REPORT

2016年8月30日、倉敷市民会館において第12回講演会を開催、200名のご参加をいただきました。ブロンズサポーター(講演会参加3回で認定)はあらたに19名誕生し204名となりました。ゴールドサポーター(講演会通算6回参加、サポーターズミーティング2回参加で認定)は今回誕生せず67名です。

今回の講演は「心の病と地域移行支援」をテーマにした2題。あずま会倉敷病院 看護部長 有本 妥美先生から「精神を病むことと生きること〜「病の経験」の理解への手がかり〜」、真備地域生活支援センター 赤澤  慶 先生、NPO法人ピアサポートセンターひといろの実 つどいの杜まりも 小柴 雅史 先生、あずま会倉敷病院 地域医療連携室 平岡 憲一 先生から「地域移行支援、病院から地域へ〜精神科で入院している人の思い、生活のしづらさから〜」と題してご講演いただきました。

有本先生の講演では冒頭で「精神科病院という響きが皆さまにどう伝わっているでしょうか。精神科病床は、日本国におけるすべての許可病床の20%で、身近なものとして感じていただきたい」とお話しされました。現在の傾向としては、統合失調症(昔は精神分裂病)患者数はあまり変動なく、うつ病や発達障害などが少し増加し、認知症・アルツハイマーの方が増えています。年齢で見ると、入院患者では65歳以上が半数を占め高齢化が進んでいます。
現在、精神病床における患者さんの平均在日数は300日を切っており、一度入院したら長く退院できないというイメージは変えてほしいと強く呼びかけられました。しかし一旦症状がでると、周囲との関係が築きにくくなり、発症した年齢が早いほどそれ以降の人生に大きく影響してきます。一度障害がでると、患者さんは社会から隔離され外されたと感じます。そこで、「これまでは病気になると、患者さん本人がリハビリし社会に近づく(社会復帰)という考え方でしたが、これからは社会が『取り込む』『理解する』『近づく』という発想の転換をしてほしい。どうしたらその人の生きにくさを軽減できるのか関心を持っていただければ」と締めくくられました。

講演2では、赤澤先生、小柴先生、平岡先生でトークセッションが行われました。
精神科病院では長期入院患者さんでも自立した生活を送っておられます。退院できない理由のひとつに、病院という囲まれた環境の中で長期間生活していたため、いざ退院となったとき生活面でたくさんの悩み、問題を抱えていることがあげられます。そのような患者さんの支援として、あずま会倉敷病院では月1回、病院交流会としてあじさいの会を開催、入院患者さんに自分の思いを自由に表現できる場をつくり、退院につなげています。また、つどいの杜まりもでは、退院してからも患者さんが地域で孤立しないよう医療機関や患者同志の交流の場などを提供しています。その他、倉敷市内にある4つの精神科病院や、行政、関係機関が集まり地域移行連絡会を発足、情報交換など行って支援体制を整える取り組みも行われています。以前は福祉サービスが揃っておらず、地域で生活ができない方も多くいましたが、今では支援が充実しており、生活の場を地域に移せる患者さんも増えています。「退院前から医療と福祉が連携することで、より多くの方に『退院する』選択肢を提示したい。また患者さん自身にも、自分の人生の選択を自分で決められるよう支援をしたい」とお話しされました。

今回は「心の病」という少し深い内容でしたが、会場のサポーターは興味深くお話に耳を傾けていました。